11/10のねこさん       文は田島薫

もうすぐごはん


きのうの午後遅く、家人と近所のスーパーでビールや牛乳なんかを買った帰りの稲荷神

社となりの家の狭い庭。垣根の間から中をのぞくと、縁側そばにミケがおすわりしてる

のが見えた。お、いたいた、って、言ってよく見ると、そのとなりの箱ん中にもうひと

りのミケも同じようにおすわりしてて、さらに、その手前の少し高くなった台の上の箱

にはグレーも同じようにおすわりしてて体はみんな縁側の方に向き、首だけこっち向け

てる。われわれが、お、よ、よ、って声かけたりしても、だれもその場を動かない。い

つもならすぐにこっちへ寄って来るグレーも動かない。


さあ、もうすぐそこの戸が開いておばさんがごはん出してくれる時間なんだよな。きょ

うはみんな早めにそろったね〜、もっとも、いつも遅れんのはぼくなんだけどね。きょ

うは、なんだか、残りもんじゃなくて、きっちりちゃんと腹いっぱい食いたい気分なも

んだから、こ〜早めに構えて待ってるんだけどね。さて、ごはん出てきたら、なるべく

いい場所とらなくちゃいけないんだけど、あんまりぐいぐいみんなを押しのける、って

やり方は好きじゃないんで、なんとなく体を寄せる、って風にしなくちゃいけない、つ

ーわけで、最初の一歩を右足にすっか、左足にすっか、ってことを考えてるとこなんだ

ね〜、だから、ぼくは忙し〜気分だね〜、つってるとこに、あの2人組だ、だめだめ、

きょうは遊んであげらんないんだよー、忙しいんだよー、早く帰んなさいよー。


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