サニーイズム          文はさぬがゆたか


「世俗的」イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だより。
サニーから、手前勝手な世相への感想が来ました。



「さよならアイボ」


これからどんな時代がやって来るのかとワクワクさせられた

SONYが開発した愛犬ロボットから、すでに15年が経って

家電扱いの修理保証期間の終了が発表された。

つまり、もうどこかが傷んで転んでニコニコと首も振らなく

なってももう寿命ってことで、どれだけお願いしてもそのへんの

壊れた扇風機と同じ扱いで、よく出来た玩具ってことなのに

そのニュースの中ではAIBOを抱えた老婦人が涙ぐんでいた。

15年も抱えていりゃそりゃ情も移るんだろ。

毎日床をクルクルと愛らしく磨いているルンバにだって、情が

移ればやがて別れがやってくるのだ。


遥か昔の映画「ブレードランナー」の中では高性能レプリカント

人造人間は、より知恵を持つと危険すぎるからと、寿命を4年と

設定されていた。それに気づいてしまったレプリが設計者にお願い

するが却下され、涙ながらに殺してしまう。映画のオープニングで

流れる時代設定は2019年秋ロサンゼルスとなっているなんて

なんとも皮肉な先見性。黒い雨降る繁華街は、昭和の新橋烏森口

周辺にも似ていたりするが、排ガスで汚れきったジャンクさは今の

中国だろうと思う。


そんなことを思っていたら先日、宇都宮の郊外の河川敷に70匹もの

大量な犬の死体が放置されているとのニュース。数回のお産経験のある

犬達や、愛玩用ウェアを着せられていた犬もいたが首輪は外されていた

らしい。寿命をまっとうもしていない彼らが簡単に捨てられるだなんて

なんて世の中なんだ。家電よりも幸せにもなれないのだ。


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