●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、自分の損も寛容したようです。
帳尻が合わない!!
仲良し四人組で恒例の紅葉狩りへ一泊二日で行った。
初日、新幹線へ乗ると前の席の二人がくるりと後ろを向くなり、私に
「この封筒に会費10万円が入っているわ。あなたが今回の会計をやって頂戴」
と言われた。
そうだなあ、後の三人は企画係、交渉係、写真係、と役割あるものなあ、当然私だろうなあ
と考え、はいはいと気軽に引き受けた。
旅は順調に進み、宿代はもちろん、立ち寄る先々で私は料金所に走り、昼食代、吊り橋代、
ゴンドラ代、足湯代、お茶代などを払い、すぐその料金をメモした。
さて、二日間の旅は楽しく終わり、帰りの新幹線ではとても混んでいて皆ばらばらに座り、
私は一人電卓と格闘した。
そして、青くなった。収支が合わないのである。
終点東京駅で旅の総括をしようと意見が一致、喫茶店に入る。当然収支決算報告しなければ
ならない。
救いはお金が足らないのではなく、余計に余っていることだった。
メモを見せて、記載漏れはないか皆にチェックしてもらい、記憶を辿るのだが、疲れた体に
頭の巡りも悪い。きっと私は封筒からではなく間違って自分の財布から払ってしまったとき
もあったのだろう。
とにかく、こんなところにもそそっかしい性格や数字に弱い面がでるものだとだいぶ落ち込
んでしまった。
みんなに平謝りに謝り、余ったお金を山分けしたら、思いがけない額だったので皆ニコニコ
して許してくれた。“有難きかな友”である。
さて、時同じくして金額は桁違いだけど、小渕優子議員が政治資金問題で騒がれている。き
っと針筵の状態だろうけど、やっぱり、帳尻が合わないというのは気分の悪いものである。