思いつくまま、気の向くまま
  文は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセーは、みんなと一緒に浮かれちゃいません。



うれしくて、やがてかなしき…


2020年オリンピック東京開催がきまった。半世紀ぶりのオリンピック開催はよろこば

しいことである。ただし、平時であるならば。


東北大震災の復興のめどもたたず、原発事故においてはなんの進展も見られないいま、こ

んなにうかれてよいものだろうか。

震災以前から準備されたオリンピック招致に文句をいうつもりはない。オリンピックがく

れば3兆円の経済効果がある。元気のなくなった国民に夢と希望をあたえる。どちらも本

当だろう。

しかし、この時期震災被災者や放射能被害に泣く人たちをほうりだしたまま、巨額の金を

つぎこんでまで招致することだろうか。震災復興には十分な予算処置をしてあると政府は

いうが、実態は復興予算が関係のないところで使われてしまっているように本気度がみえ

ない。安倍首相は、IOC委員へのプレゼンテーションで「原発(事故)は完全にコント

ロールされている」と大見得をきったが、完全にコントロールされているものから汚染水

が漏れ出すものだろうか。これからこのようなまやかしの発言と、隠ぺいはふえていくこ

とだろう。

一都市の行事といいながら、国立の施設や国道は国の予算で工事をおこなう。また、東京

都は4,000億円の金が用意してあるから心配ないといいながら足りなくなったら国庫から

補助するという。これは東京都のインフラ整備のために税金を使うということになる。た

った半月のお祭り騒ぎのために東京都民以外の人はこれでいいのですか、と聞きたい。


マスコミはオリンピック一辺倒である。これで震災被災地や原発被害にあった人の存在は

消えてしまうだろう。このバカ騒ぎを仮設住宅に置き去られた人たちはどのような思いで

みているのだろうか。

日本人は忘れるのがはやい。いや忘れさせられるのになれている。そこで提案がある。全

マスコミはオリンピック関連の報道をするときに、オリンピック報道10に対して被災地

情報4の割合で必ず報道するようにしてもらいたい。そうしなければ2年先には完全に忘

れ去られた被災地の悲しい光景を目にしなければならないだろう。

もうひとつ懸念がある。オリンピック招致で元気になった(正確には、オリンピックに浮

かれた国民によって元気にされた)安倍首相が日本をとんでもない方向へ引っ張っていき

そうだ。もしそのようになったら“悲しい”なんて悠長なことは言っていられない。


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