9/17のねこさん 文は田島薫
シックがとととと
先週の木曜の午後、家人と自転車で食料の買い出しに行く途中のねこよこちょう入口角の
家の庭をのぞくと、テラスの上でシックがガラス戸の方に顔を上げてライオンのようにふ
せていた。ふたりで、お、シックがいた、って言いながらながめてると、気がついてこっ
ちに顔向けたんっで、よ、って手を上げて合図した。じっとこっち見続けてるんで、何回
か、よ、って手を上げるのをくりかえした。しばらくすると、顔の向きをまた正面のガラ
ス戸の方にちょっとの間戻してからまたこっち向いたんで、また、よ、って手を上げて、
同じことくり返してから、その場を離れた。
30分後ぐらいで買い物を済ませてから戻って来てまた庭をのぞいてみるとまだシックは同
じような姿勢のままだったんで、また、さっきと同じように、よ、って手を上げたところ、
シック、ふいに立ち上がり、テラスの階段をとととと下り、こっちへとととととと、走っ
て来る。門の格子とびらが閉ってるんで、よこの植え込みを抜けて開いた駐車スペースの
はじっこから体を出した。こっちは、ちょっとおどろきながらそばへ寄って、ちょっと鼻
先をさわってから、あごと頭をなでてやったら、しばらくジッとしてる。手を離してなが
めてると、その場へごろん、って寝転がった。で、ちょいちょい、って頭さわってから、
じゃ、また、って手上げて行こうとした時、こっちを、あれ?って顔でながめてた。
おばさんにちょっと待ってて、って言われたんだけど、ごはんまだかな〜、あり?またあ
の2人組がこっち見てるぞ、お、また手も上げてるし、なに言ってんだろね、いつも、ま、
いっか、ほっとくか、んと、でも、も一回見てみっか、あ、また手上げてやがる、なに言
ってやがんだろね〜、って言ってるうちに行っちゃったか〜。
おばさん、まだごはんくんないね〜、忘れちゃったのかもな〜、あり、あの2人組また戻
って来たぞ、また手上げてやがる、ほっとくか、まてよ、お、やっぱ、また手上げてなん
か言ってるぞ。お、そっか、そっか、ごはんくれる、って言ってんのか、さっきから、な
〜んだ、はやくそう言ってくれればいいじゃね〜の、ととととと、とそばまで来たら、こ
っからは出らんないから、こっちか、はいはい、来ましたよ、ごはんごはん、なに?頭な
でんのか?じゃ、さっさとなでて、そんなことより、はやくごはんくれ。ん?くんないね
〜、ちょっと腹へってるとこ見せっか〜、ほらぼくのお腹はこんなにぺちゃんこ、つって
ると、それ見てから手ふって、行っちゃた、え?なに?どしたの?はなしがちゃう。