8/26のしゅちょう             文は田島薫

危うい豊かさについて

日本じゅうピカピカの新車が走り回り、ひさしぶりに都心に出てみれば、どんどん新しい

高層ビルが建ち続け、ビシッとした高級ス−ツの人々や、高級そうに見えなくても小ぎれ

いな今風ファッションの若者や老人ばかりが歩き回ってるし、自民安倍政権はアベノミク

スで景気は好転してる、って言ってるし、日本は豊かな国に間違いないんじゃないか、っ

て見えるんだけど、多分それを謳歌してるのは国民の半分ぐらいのはずなのだ。

そりゃ、戦時中の話を聞くと、国民のほとんどが毎日の食べ物にも困ってたわけだから、

どんなに不遇な者もそれとくらべたら全員、夢のように豊かなのだ、ってことも確かに言

えるんだろうけど、原発事故のおかげで生活基盤をだめにされた人々のことや、アジアな

どの安い労働力に生産拠点を移し、収益を上げる大企業の陰で切り捨てられた、国内の下

請け企業や、安い輸入品などの大量販売で収益を上げる流通業者の陰で、閉店するたくさ

んの中小商店や倒産する中小企業。

経済が上向きだ、って安倍政権が言ったって、それは全体の統計上の平均値だったり、数

字上の売り上げだったりするだけで、国民の大多数が豊かになったわけではないのであっ

て、どこが好景気なんだ、って生活が苦しくなる一方の人々も多いのだ。

つつましい小さなアパートの前に新車が何台も並んでる光景をみると、そんな人々もロー

ンで新車を買って、人の2倍も働いてる場合だって多いに違いない(もっとも、大金持ち

だけど生活環境はつつましいのが好き、って人ももちろんいるんだろうけど)。

それでも、無理をすれば貧乏人でも車を買える世の中は豊かだ、って言えないこともない

けど。ま、百歩譲って、そういった世の中がこのままのレベルで続く、って自民政権が保

証できるんであればいいけど(もっと豊かになる、って安倍さん言ってるけど)、福島原

発からの高濃度放射能廃水の海への流出が連日300トンあり、レベル3だ、そうだけど、

これをふせぐ工事をしても、それが完成するまで2年以上かかり、その間流出し続け、そ

の濃度ももっと増す、って試算があるのに、その今すぐ着手しなければいけない工事にも

経済性の観点から躊躇してる現状だそうなのだ。

各地で増殖する核廃棄物処理の段取りもつかない上に、またそういった目の前の処理もで

きない能力体勢のまま、他の原発の再稼動を進めたり他国へ売り込んだりしてるのを見る

と、(借金で買った)ブランドものの高級スーツを身につけてるけど、体の中は多臓器不

全起こしてる、ってようなイメージが浮かぶのだ。

まず、人体の病気治療とも言うべきやるべき防御工事を迅速に始め、不健康生活ともいう

べき原発をやめ、人体の血流改善とも言うべき、ワークシェアなどの格差是正政策を急ぐ

のがいいのだ。




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