思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、役人のきまりごと風質問と相性わるかったようです。



返事にこまる


この春先だったか、役所の福祉課から「介護予防に関する調査票」なるものが送られてき

た。ふだんはこの手のアンケートには答えていないのだが、日頃定期健診を受けていない

ので考えるところがあってできるだけ正直に記入した。

先日結果通知が送られてきた。それには、1)歯や口の状態など、口腔の機能が低下して

いるおそれがあります。2)生活が不活発になっているおそれがあります。と、二つのご

注意があった。

1)については、設問に思い当たることがあるので納得がいったが、2)については狐に

つままれたような気分になった。なぜかというとその解決策に「健やかさん教室」へ行け

と書いてある。この「健やかさん教室」なるものの内容は、健康に対する指導と出不精の

ひま人が集まっておしゃべりをするらしい。

外出、社交に関しては同年輩の友人、知人とくらべると多い方を自負している。どう逆立

ちしても納得がいかないのでアンケートの控えをしっかり読み直してみたら原因がわかっ

た。実にバカバカしいというか返事に困る項目にまったく答えてなかったからだ。

なぜ返事に困るかを説明するために長くなるがすべてを引用する。

「現在、週一回以上実行している運動や趣味活動、社会活動はありますか。」と題して以

下の項目が並んでいる。

〔ウォーキング、水泳、筋力トレーニング、体操、ストレッチ、ヨガ、ダンス、パソコン

作業、趣味の料理・お菓子作り、手芸、習字、園芸・家庭菜園、囲碁、将棋、麻雀、カラ

オケ、コーラス、楽器演奏、カメラ、読書、俳句・短歌・川柳、語学学習、その他の学習

活動、就業、介護、ボランティア活動、地域活動〕と、以上である。

次に、「上記で〇を記入した項目以外に今後やりたい運動や趣味活動、社会活動はありま

すか。」と、上記の項目から介護がなくなって旅行が追加された同じ項目が並んでいた。

(どのような理由で実行している項目に「旅行」がなくて、やりたい項目から「介護」が

はずされたのかわからない。)

要は、運動や趣味活動、社会活動にたいしてノーコメントであったばかりに「健やかさん

教室」へ行け、ということになったようだ。


このような調査、指導にいちゃもんをつけようというのではない。

問題は、設問の内容にある。ここに書かれたものは内容が無難でありふれた、言わば世間

にたいして右へ倣え的なものばかりだ。それに趣味活動と書かれると、活動というひびき

にはどうしてもサークルとか〇〇教室とか複数人の行動を連想してしまう。趣味と書けば

一人で楽しんでいる人は大勢いるはずだ。ここにも右へ倣えの意図がうかがえる。たしか

に世の中右へ倣えにしておけば管理はしやすいだろう。(この調査票のベースは厚労省が

作ったものだ)しかし、世の中には政治活動や人様にはあまり大きな声で言えない趣味で

忙しくしている人もいる。もっと穏やかにいえば、一人で日本中いや世界中を遊びまわっ

ている人もいる。このような人たちにも「健やかさん教室」へ行けと言うのだろうか。

特定の生活者を対象としたアンケートならわかるが、不特定対象のばあい、返事に困るア

ンケートで人の色分けはしてもらいたくないものだ。


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