●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんの新シリーズ7回め、歯もファッションにつながった。



シリーズ ファッション考

歯が痛む


日曜日、朝起きたら奥歯がうずいている。

一週間ほど前から兆候があり、マメに歯医者へいく私はすぐに行って歯垢をとってもら

い消毒をしてもらっていた。それなのにこの痛みはなんなのだろう。

夕方になると痛みはひどくなり、夕食は柔らかいものにして早々と寝たのだが、ズキン

ズキンと痛んでなかなか寝付けない。

気を紛らわそうと本を読み始めたが、頭に入らずあきらめた。

そして考えることは歯のことばかり。

小学校5年のとき、虫歯でひどく痛い治療を受けたのがトラウマで、歯には早めの手当て

を心がけてきたのに・・・

また痛い目にあうのだろうか。歯を抜くことになったらどうしよう・・・

いやいや、乳がんと闘っている友人やパーキンソン病の旦那を介護している友人を考え

たらなんのこれしきのこと・・・歯の1本や2本、どうってことない・・・だんだん考え

ることが深刻になってきた。

気持ちを切り替える。

なんだか最近のテレビにでてくるタレントや俳優は老いも若きも不自然なほど真っ白な

歯をしているなあ。

あれはきっとファッションの一部なのかもしれない。

ファッションというけれど人の美意識なんてまったくあてにならない。

江戸時代は歯を黒くするお歯黒を美しいとしていたくらいだから。

そういえば友人のNさんたら、高校時代の“憧れの君”が卒業後歯科医になって開業し

ていると聞いて、家から30分以上かかるのに歯の主治医にして通っている。

それってどういう気持ちなのかなあ。勇気あるなあ。

私だったら、“憧れの君”に大口開けて虫歯を見せたり、苦痛にゆがんだ顔なんて見せ

たくないなあ。

口を開けていたら、話もできないのに・・・

くだらない考えが次々と浮かび眠れない。


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