●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんの新シリーズ5回め、本音はどれ?、って。
シリーズ ファッション考
女のアフターフォティ
40代をとっくに過ぎた親戚のJちゃんがつくづく言う。
「女は40の坂を越えるとぐんと生きやすくなるわねえ」
「どういうこと?」と私。
「だって、女の20代から30代は一応結婚適齢期だから異性を意識しているし、世間か
らもモテ期とか花も盛りの年代とかいわれていつも美しくしていなくちゃあ、と思うじゃ
ない? もうおしゃれのためなら時間もお金も惜しまないという年代なのよ。ほら、今ど
きの若い人って美しさのためのダイエット志向はもちろん、付けまつげやマスカラやリッ
プグロスなど化粧品の多さったらないでしょ」
「そうねえ」
「それが結婚して40を過ぎちゃうと、状況は一変するのよね。おしゃれに対する情熱と
いうか重圧というかそういったものから解放されるの。なんとなく憑き物が落ちたように
…ようやく我に返って自分を取り戻したような感じ。蝶とか花みたいにきれいな存在とし
て愛でられる立場から一転して愛でる立場になるわけ。」
「なるほど…」
「評価されるより評価する方がずっといいもんね。世間なんかを相手にしないで我が道を
いくって感じ。ホントにラク!」
Jちゃん、勇ましくて頼もしいけれど、ただ忙しくておしゃれする時間と余裕がなくて開
き直っただけなんじゃないの? オバタリアン街道まっしぐらなんてならないようにね。
本物の自分解放であってほしいわ。