思いつくまま、気の向くまま 文と写真は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせいの旅、どうやら楽しいものになったようです。
露国赤毛布
1.ひとはみかけに…
2月の末に年齢22歳から78歳、平均年齢62〜3歳というパッケージツアーに行って
きた。冬のモスクワ・サンクトペテルスブルグ7日間というツアーである。
生来右といわれれば左と答えるいい性格の持ち主なので団体旅行には一抹の不安があった。
とにかく規律のある団体旅行というものは小、中、高の修学旅行以外行ったことがない。
では、なぜそんな思いをしてまで参加したかというと、安かったから。
厳冬のロシアは平均気温が−5〜−10℃と言われているので空いているはず。それにこ
の気温はゲレンデで吹雪かれた時とおなじだ、と高をくくって申し込んだ。あとで聞いた
ことだが、寒いからそう大勢は集まらないだろうと旅行社も高をくくっていたそうだ。
出発当日成田空港でおこなわれた旅行社のミーティングでおどろいた。なんと参加者総勢
60名。2班に分かれて行動すると告げられた。安いと言うことは魔物である。
われわれの班は2名の学生を最年少に30代が5名、リタイア組の夫婦が5組、あとの
13人は、そのほとんどが親子姉妹をまぜた60代に見えるオバサン達だ。
そのいでたちは観光地で大声をあげてわがもの顔で闊歩する、あのオバサン集団そのもの
である。一人旅の初対面であるから話し声が聞こえないところだけがちがっている。
心配事がもうひとつ。結構な年金をもらい、幸せいっぱいの3組の団塊夫婦。現役時代の
キャリアを鼻の下にぶらさげるタイプだったらどうしよう。
このメンバーと一週間をともにすごすのかと思うと気持ちが暗くなってきた。
ところが機内の行動にはじまりモスクワ空港に着いたあと、この考えがまちがっていたこ
とがわかった。
オバサン達が水を得た魚のように動き出した…。