●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、パソコンの前で色んな感情が行ったり来たり。


パソコン地獄


パソコンは壊れもしなかったのでずっとXPの2003を使っていた。

他人は「へえ〜10年も使っているの〜骨董品だね」という。だって、だって、使いやすい

んだもん! まるで身内のようになったパソコンを後生大事にしていた。

ところがである。XPのサポートが来年3月で終わるというニュースが入った。サポートが

なくなる、という言葉に機械音痴の私は急に心配になる。壊れたらどうしよう、ウイルスが

ついたら…そういえば少し重たくなったし、開けない添付メールもあって互換性の問題もあ

るし、次々とマイナスイ点が頭を駆け巡る。

それで急転直下、そろそろXP卒業の潮時かな、と買い替えを考え始めたのである。そして

折しもwindows8が売り出された。私の心は新品へのあこがれがむくむくと大きくなった。

まず、誰彼となくW8について聞きまわった。「XPから8ねえ、ハードルは高いよ、まず、

W7でいいんじゃないの」「私なんか、W8をマスターするのに2か月かかったわよ」との

反応。意外とW8の評判は良くない。

因みに世間ではXP30%,vista10%,W8は10%、残りはW7だという。へえ〜まだ

XPは意外と多いんだ。

それでも、私の欲しい気持ちは止まらない。

最も身近なサポーター、息子に電話して相談すると、任しとけ! の頼もしい返事。たちま

ち数日後には、ネット販売のアマゾンから新品でofficeなしのdynabookが届いた。それから

間もなく、息子は別売りのこれまた格安のoffice w8のパッケージを抱えてやってきた。パソ

コンオタクの息子は何でも安く手に入る手軽なネット購入なのだ。

その日、早速新しいパソコンの初期設定をしてもらい使えるようになった。

「おお、こんな格安でW8が手に入るなんて!」私はクリアな大画面と早い動作に大感激。

息子にお小遣いを弾んだのは言うまでもない。

でも、甘かった……

使ってはみるが、W8は複雑、使いにくいの評判通りでとてもサクサクとはいかない。つい、

古い愛着のあるXPに手が延びる。

暇になったらじっくり研究と思ってた矢先、W8に入れたofficeの認証番号を登録せよの表示

が画面に出るようになった。早速試みるも登録できないのでオペレーターに繋いでもらい確

認するとこのソフトは不良品だという。

そういえばベトナム製とかいってたっけ。 やっぱりね、どおりで安いはずだ! 素人はち

ゃんとofficeの入った正規のものを買うべきなのだ……

反省と後悔の日々を送るうちに遂にパソコンは働かなくなってしまった。

肝心の息子は忙しくもう来てくれないというし、途方にくれていた私を助けてくれたのは、

たまたま、地区センターの文化祭でのパソコン相談室コーナーのおじさんだった。地域のパ

ソコングループのお助けマンである。

「それなら私のXPのofficeが手元にあるので、それを入れればいい。それならタダだし。

2003なので今までと同じで慣れているんだからその方がいいよ」

私はまたまた安さに飛びついてしまった。

いわれるままにおじさんの自宅へ行き、2003のofficeに入れ替えてもらった。なんのこ

とはない、昔に戻ったのだ。新し好きの私の面目丸つぶれ。何のためにW8を買ったのだ?

そして忘れもしない10月18日、W8.1が発売されたというニュースが流れた。なんで

もW7の使いやすさを取り入れた改良品だという。なんでえ〜と言ったきり私は言葉もない。

そんな落ち込む私に追い打ちをかけるように悪友からのメール「W8の乗り換えはちょっと

早まったね。ひひひ」だって。そんなことを言われてもすでに買ってしまったものどうしよ

うもないではないか。

さて、おじさんから“古き良き”XPのofficeを入れてもらったからといって、これで一件落

着とはいかない。データーの引っ越しがある。引っ越しソフトを買ってきてなんと5時間超

かけてようやく引っ越し完了するも、XPからW8にはギャップがあるのか、すべてのデータ

ーが入ったわけではない。肝心のメールアドレスや筆ぐるめが抜けているのだ。どうしよう

・・・

それに当座はこれで乗り切るけれど、こんなバランスの悪いバージョンでいいわけない。や

っぱり私の夢は最新のW8のofficeを入れて、8・1にバージョンアップすることなのだ。

道のりは遠くすべて人頼みなのだけど来年度までにはやり遂げよう。

私のパソコン地獄はまだまだ続く。


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