2013年11月12日(火) 連載・やっぱり秋は芸術(10)
『日帰り温泉』っていうのに初めて行った。函館の中心から市電で20分ちょっとの場所に
『湯の川』という、いかにも温泉町らしい名前の地区がある。大きな温泉ホテルが林立して
いるが、すぐ傍が海で市営の大きな熱帯植物園や高級住宅地があり静かなエリアである。そ
このいくつかのホテルが、安く日帰りで温泉に入れるのを知り利用してみた。行ったのは
『啄木亭』という12階建ての大きなホテルで、見晴らしの良い10階に広い風呂場があった。
茶色でぬるいその温泉でゆったりと長湯をした、ここの湯の成分や効能や歴史などがたくさ
ん表示されていたがよく読まなかった。
函館に2泊してから札幌に行った。昼頃に札幌駅に到着、待ち合わせた兄と駅ナカのそば屋
できつねうどんを食べてから母のいる病院に行った。4人部屋の病室で母は目を閉じていた、
顔色は良かったが前回来た時よりむくんだ感じであった。兄はプレーヤーを持ち込み、何を
考えたのかクラシック系行進曲のCDを母の耳元で鳴らした。しかし、母は特にその音に反
応しなかった。介護士さんに言わせるとたまに寝言を言うらしい、昨日も『2万円』と言っ
たとか。帰る間際に母は目を開けた、こっちを凝視したので話しかけてみた。不明瞭だった
が一言何か言ったので聞き返してみたが、また目を閉じてしまった。
その日の晩御飯は、兄の所で寄せ鍋をご馳走になった。市内に住む甥っ子の嫁さんと一才三
ヶ月のチイちゃんが来ていた。前回見た時は赤ちゃん顔だったが、今回は中々利発そうな顔
立ちになっていた。読み聞かせが大好きらしいので、次回は本をお土産に買っていこう。
札幌駅に近い関西系ビジネスホテルが定宿、そこは朝食バイキングが評判のホテルだが実際
にいつも旨い。そのホテルで自転車を借りて札幌市街をゆっくりまわった。広葉樹の多いこ
の街は、今色づいた葉が美しい。特に駅から近い北海道大学構内は、テレビの旅番組で見る
欧州のような風景が広がっている。
道立近代美術館で『フィンランドのガラス製品』という企画展をやっていた。シンプルで美
しいフィンランドのクラフトには前から興味があった、たくさんの作品とその歴史や工芸家
の事を音声ガイドで聞きながら鑑賞できて良かった。
帰る前の晩に、ホテル近くの居酒屋で兄夫婦と軽く一杯やった。久しぶりの居酒屋だった、
酒はあまり飲まなかったがたくさん食べた。旨かった。 |