7/30のねこさん       文は田島薫

焼けたアスファルトを渡るねこさん

あまりの暑さに土曜の午後も日曜の午後もねこよこちょうには、毛皮着たねこさんはさ

すがにひとりもいなかった。日曜はヤボ用で自転車で駅までの道を3往復ぐらいしたん

だけど、その道は西日が真直ぐに当たる日陰の全くないアスファルトで、老人などは命

がけで歩かなけりゃならないほど暑い。中でもわざわざ日光浴してるような坂があって、

そこを、1度だけ背中の薄茶のねこさんが向かいの高架下の日陰に向かって横断をして

るのを見たんだけど、ねこさん、ととととと渡り終えてから、なぜかすぐに高架下に入

らないで、立ち止り、あたりを見回してる。


おいら、ずっと日陰に沿って歩いて来たんだけどさ、なんだかだんだん気分がわるくな

ってきた気がすんね、なんだか体じゅう熱もっちゃった感じでさ、おっと、この真っ白

に焼けた道の向こうに用があんだよな、どーするどーする、あそこ出たとたん死ぬかも

しんないな、や〜、こんなとこで死ぬのやだな〜、いそいで向こうの日陰に入れれば多

分大丈夫だと思うんだけど、イチかバチかのカケだね、こりゃ、迷いながらここでじっ

としてても死にそうだし、同じなら、行った方がいいね、いっち、に、の、ダッシュ!

おっと、渡ったはずなんだけど、めまいがしたね、死んだかな?んと、だんだん目が見

えてきたね、だいじょぶだよな、おいらの体よし、景色よし、よかった〜死ななくて。


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