●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
シリーズ完結、カンカンガクガク、クセの問題児登場。



シリーズ なくて七癖

男の浮気癖

幼馴染が集まる暑気払い飲み会があった。

お酒が回るほどに話はあちらへこちらへともつれていく。

お金持ちのご主人をもつSちゃんが思い切ったように打ち明け話をした。

「ウチの主人たらなんと浮気をしていたのよ。それがバレて、私がなじると、男の甲斐

性だ、何が悪い、って逆切れしたの」

それを聞いた元級長のKちゃんは慰めにもならない解説をする。

「うん、逆切れするのはおかしいけど、世の男はね。みんな金ができるとすることがな

いから浮気するんだよ。本妻はちゃんと別格として奉っておいて、ほんのいっときの遊

びをしただけだからって罪の意識がないのさ」

「おいちょっとまて、世の男と一口にいわないでくれ。清廉潔白なのもいるんだぜ」

ゴルフ三昧のA君が口をとがらすと、「ひとりだけいい子になるな」と男性陣から野次

が飛ぶ。

「巨人の原監督が女性問題で1億円払ったなんて報道があったら、こんどは橋下知事で

しょ。そういえば、民主党の小沢元代表も週刊誌でスッパ抜かれたし…男はみんな信用

できないわ」

女性陣の一人がいえば、

「政治家はそういうスキャンダルでだいぶ女性票をなくすんだ」

とさらに誰かが話を遠くへもっていく。

口火を切ったSちゃんはあわてて話を引き寄せる。

「男ってなんでお金ができると女にはしるのよ」

「それは子孫を残すための男の本能というべきかな」

プレイボーイのEちゃんがしれっといった。

「いやいや、それはその男の癖なんだよ。一度浮気をした男は二度三度とするからね」

A君が訂正すると、頭の良いエレガント未亡人のB子ちゃんが珍しく厳しい口調で言い

渡した。

「そんなら、せめてバレないようにして欲しいわ。それがエチケットというもんでしょ

うが…聞かされた方はたまったもんじゃないわよね」

そこで女性たちは深くうなずいたのであった。

(このシリーズ終わり。20日まで夏休み休載いたします)


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