思いつくまま、気の向くまま
  文は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせいは、その老人といたく共感してました。



カッコいいのはいいことか



街中のセルフサービスの喫茶店。

こういう店には不似合いな老人がなにかをさがしている。

どうやらトイレをさがしているらしい。

ようやくたどりついた先には二つのドア。

一枚にはカッコよく「PrivateRoom」もう一枚には「Toiret」。

どちらを開けたらいいのかわからず性急に両方のドアをひっぱっている。

どちらも開かない。

やがてあきらめた老人は遠くに目をやり何かをみつけてうれしそう。

行ったところは洗面台。

なんだ手を洗いたかったのか、心配して損をした。

ところがことはおわらない。

洗面台にはカッコいい水栓がついている。

こんどは水がでてこない。

しばらくカッコいい水栓と格闘をしていたが、ようやく水がでた。

めでたし、めでたし。


これを見ていてつくづく思った。

世の中不慣れな人になんと不親切にできているのだろうと。

どうして「事務所」「お手洗い」と書けないのだろう。

蛇口と言った昔ながらのわかりやすい水栓をつけてくれないのだろう。

世の中そんなにカッコよくなきゃいけないか。


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