4/9のねこさん       文は田島薫

ねこさんがうじゃうじゃいなかった

こりたのか、きいろぶちは先週も来なかったようだし、他のねこさんも見かけなかった

んで、困った時のねこさんうじゃうじゃいる家、ってことで、きのうの午前中、ママチ

ャリで遠くのスーパー行った帰り寄ってみた。

いつも行くと玄関ふきんにいたクロもグレーもいなくて、家の窓も戸が閉まってるし、

奥さんも留守のようで、ひっそりしてる。玄関横の廊下だけはガラスと網戸で中が見え

て、外にいるクロとグレーと違って、一応飼われてていつも家の中のそこにいる毛の長

いねこさんがふたり、つまらなそうにこっち見ながらじっとしていた。


ぼくらふたりはいつも家ん中のこの廊下にずっといるんで、ま、寒い冬は暖ったかくて、

待ってればエサ出してもらえて、それをだれかに食べられちゃう心配もないから楽ちん

でいいし、居着いちゃっただけののらのあいつらは外で寒くて大変だな〜、って思って

たんだけど、こう、外も暖ったかそうになってくっと、ぼくらも外出たい、って気持ち

になってくんだよな〜。しかし、こうなると、あいつらは自由でいいな〜、きょうもふ

たりともどっかうれしそうにガールハントに出かけちゃったし。でも、外行くと、車や

わるい人間やらんぼうな犬やねこに遇うからだめだ、って奥さんが言うんだけど、そう

いうわけで、家ん中で安全だ、っていってもな〜、どっちがしあわせなんだろ〜、って

今みたいな花咲くころにはいつも思うんだ、寒いころだけは、しみじみ家ん中はしあわ

せだな〜、って思うんだけどね。


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