サニーイズム          文はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だより。
サニー、私の両親がいたとこ通ってそこ近くの山久しぶりに行ってみたようです。



「 筑 波 山 」

春がちかくなったからか、なんだか高いところに行ってみたくなった。

まもなくスカイツリーも開業するらしいけど、行くにゃ遠いし手間も

かかるので、それなら似たような高さでどうだと筑波山が浮かんだ。

ニュースで富士重工が軽自動車から撤退と出ていたのを読んだら、なんでか

スバル360が浮かんで、筑波山を初めて登ったのは、その360だった。

と、言っても自分が運転したわけじゃなく、近所のA兄ちゃんがどこかの女と

ドライブに誘うついでになんでか載せられたんだった。

そのときボクはまだいがぐり頭の中学生だっただけ。

あの小っちゃい車に三人も乗って、青白い煙をもくもくと吐きながら筑波山を

登ったはずだけど、たぶん途中の神社あたりで引き返した記憶が正しい。

そのくらい非力なてんとう虫360だったけど、その会社もこの春に軽自動車から

撤退するんだそうだ。いろいろ大人の世界も大変なんだと思う。


 その中学生だった頃、ボクらが住んでる町からは男体山と女体山とふたつの

山がちょうどオッパイに見えて、自転車を乗りながらも騒ぎあったものだった。

朝早くにはきっちり二つのオッパイがシルエットになり、夕方には頂上近くの

測候所の壁が夕日に光ってみえたりで、本当にいい山なのだと思った。


でね、それから数十年もたっての昨日、なんでか一人で行ってみたくなったのだ。

いざ走ってみれば下妻を抜け明野を越えて片道1時間ぐらいの距離なのに

すっかり土産屋の看板だらけになってしまう。あのスバルに比べれば圧倒的な

登坂力でぐいぐいとロープウェイ乗り場の駐車場に着いたけれど、そこは日曜だと

いうのにガラガラでまるで休館日のようだった。大型バスから降りてきたのは

カラフルなジャケットやデジカメ抱えた中国からの観光客のグループばかりで

他は控えめな家族連れがあっちに数組こっちに数組とはホントかよ。

梅はまだ咲かないし、小雨が降って寒いし、曇って眺めも悪い日には好んでは

ご近所さんは誰も来ないのだよ。

空しくなったからか、待合室に展示されていた夜の関東平野の輝く写真がすごく

パワフルに綺麗で「日本にゃこんな力があるじゃないか!」と強く思ったのだ。

地元農家で造ったという漬物や香辛料を土産がわりに買って、スタコラサッサと

山を降りた日曜だった。



なんじゃこの妖しい雑居さの駐車場風景に見とれる・・・標高550m




途中風返し峠から眺める。オッパイでしょ。




栃木からの遠望。山は遠いほうがいい。


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