思いつくまま、気の向くまま 文は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、福を集める最良の法を探してるようです。
福は〜内!
今年も節分がやってきた。とくべつ古式を尊ぶわけではないが小さい頃から身についた習
慣は守らないとどこか気持ちがわるい。また、明くる立春は日本の暦では新年のはじまり
でもある。その年の運勢は立春から翌年の立春までであることを知らない人が多い。
昨年の大震災いらい福にかかわるものがよく売れている。福寿草もその例にもれない。こ
こ十数年福寿草の苗をさがしていたが正月用の寄せ植え以外には見当たらなかった。とこ
ろが昨年の暮れからどこの園芸屋にいっても売っている。
節分の豆もおなじことで、スーパーでもよく売れている。みんな福が恋しいのだ。
東京のはずれ、旧宿場町の商店街に昔ながらの乾物屋がある。この店はすべての品が国産
である。店先の魚や海草の乾物にまざって節分とだけ小さく書いた煎り豆がひっそりと売
られている。もの欲しそうに節分用の豆なんて大書してないところが町っ子の心意気をみ
るようでうれしい。
ふつう売っている豆まき用の豆は丸くて大きい黄大豆だがここの豆は青くて小さい青大豆
だ。枝豆の親戚だから不味かろうはずがない。値段はスーパーの三倍、といってもたかが
知れている。タバコ一箱にみたない。
豆の袋をもって店の奥に入っていくと、歳老いた親父さんが出てきて「そう、日本の行事
は国産でなけりゃ。そこらへんで売っているのは、みんなニーハオかアメリカ産だからね。
あんなもんじゃ福はこないよ」と、にこりともしないで豆を包んでくれた。
アメリカ産はともかくニーハオが気に入った。たぶん中国産の安い商品でひどい目に遭っ
ているのだろう。
二月三日は節分と初午が重なった。初午といえばお稲荷さんである。お稲荷さんは商売の
神様であると同時に開運の神様としても信仰されている。今年は二重の福にあやかれそう
だ。その証拠に、豆まきをしない友人のところでも立春をすぎたらすごい福が舞い降りた。
ぜひ、その福のおすそ分けにあずかりたいものだ。