●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、想いも豊かな充実した年齢、と言えそうです。
鎌倉初詣
テレビのドラマを見ていると、自分と同世代の女主人公に出会うことはほとんどなく
なった。
主役の年代はだいぶ年下で、私と同世代の女性が登場すると主人公の母親だったりお
ばさんだったりで脇役なのだ。脇役なのはいいのだけれど、口うるさかったり、常識
の権化だったり、変に依存的であったりすると、これが高齢女性のステレオタイプな
のかと思うとがっかりする。
あんな風には歳をとりたくないな、と思いながら、今年も一つ歳をとることになる。
どんな1年になるのだろう。ちょっと安手のコピー風だけど、「しなやかに、したた
かに」いけるといいのだけれど…
先日、会う用事のあった友人と鎌倉で落ち合い、ついでに八幡宮へお参りすることに
した。鎌倉へは子育て時代、PTAの仲間と四季折々にいったものである。しばらくぶ
りに段かずらを歩いていくと、低いけれど緑の山並みも見え、ちょっと浮き浮きとし
た観光気分と厳粛な初詣気分が入り混じる。
八幡宮は鎌倉武士の心意気のように後ろに山を従え、右大臣左大臣の門をあしらい、
明るく開放的で堂々としている。まだ正月気分の抜けない賑わいと破魔矢を持った参
拝客などで混んでいた。
見渡すとぞろぞろ歩く周りの人々は圧倒的に高齢者が多い。
そして、帰りは道を換え、駅へ向かいながら小町通りをのぞいてみると食事、小間物、
洋服、手作り品などの品揃えが見事に女性の高齢者向けに埋め尽くされていた。
ここ鎌倉は高齢者の女性が主役なのだと思った。
ときには主役と脇役が交代して、心の置き場所を含めてそれぞれの居場所があるのは
とてもいいことだけど、私はその場所にどっぷり染まってしまうのもなんだかいやだ。
そんな境界線などはポーンと蹴飛ばして、自由に行ったり来たりしたいものである。