1/10のねこさん       文は田島薫

ねこさんがうじゃうじゃ5

新年から早九日、やっぱり茨城の家へはねこさん遊びに来ないもんで、先週に引き続き、

今回もねこさんうじゃうじゃの家へママチャリで出かけた。

遠くからその家の生け垣の入り口に人が入って行くのが見えたんだけど、そば行ってみた

ら、すでにそこでも知り合ってるそこの奥さんだった。ねこ見に来ました、って言うと、

前日の新年会でおふくろが頼んでいた子ねこを探しに近所へ行って来たとこだと言った。

どうも、目をつけてたねこさんが見当たらなくなってて、親ねこさんの方は亡くなってた、

って、おふくろの好きなミステリードラマのねこさん版が起きてたようだ。

長い間、大勢のねこさんの世話をして来た奥さんは、数々のねこさんの死に立ち会ったよ

うで、悲しそうな表情でそういった話をし続けた。

そばの陽だまりにクロがいて、私が近づいて頭なでたら、少しゴロゴロのどを鳴らした。

そん時は奥さんもうれしそうに笑った。


お、おばさんが帰って来たと思ったら、後からこの前も来た人がまた来たね〜。おばさん

となにか悲しそうな話してるようだね。人間ってもんはいろいろ悲しいことがあんのかも

しんないね〜、ぼくなんかはそういった悲しい、って気持ちはあんまりわかんないんだけ

どね。ま、とにかく、悲しいってことはうれしいこととは違うようだから、あんまり、味

わいたくないもんだ、ほらほら、おばさんも笑って笑って、おばさんじゃない方の人も笑

って笑って、お、ぼくの頭なでんだね、おし、サービスしちゃおー、ゴロゴロ、ちゃって。

お、おばさんも、おばさんじゃない方の人も笑ったね〜、じゃ、ゴロゴロ。


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