3/22のねこさん       文は田島薫

黄とらテラスに立つ

あんな大地震の後の先週の中ごろも、いつものように食料の買い出しに自転車で出かけると、

ねこよこちょう入口角の家のテラスの手前に黄とらが行儀よく座っていて、こっちを見てる。

日も当たってて気持ちよさそうなそうでもないような、じっと動かない。


や〜、やっとここへたどり着いたね〜。前だってみんなといっしょなら、ここへよく来たも

んなんだけど、どーゆーわけか奥さんのきげんがよくなくなったあたりから、みんなあんま

り大勢は来なくなったもんで、ひとりで来る、ってーと、いつ奥さんが出て来てやつあたり

されっか気が気じゃない、ってことで、植木のふりしたり、玄関前で日なたぼっこしたりし

てたんだけど、なんだかここんとこ急に奥さんテレビに夢中になっちゃって、テラスに出て

来なくなったようなんで、恐る恐る近づいて、テラスから距離を縮めた場所で日なたぼっこ

しながら、とうとう、ぼか〜テラスに上がちゃったね〜。緊張すんね〜。まだ少し心配でテ

ラスのまん中まで行くのは無理なんだね〜、だから、このはじっこで様子を見る、つーわけ

なんだね〜、もしもの時はぴょん、って飛び下りて逃げればいい、つーことなんだね〜。


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