●連載
がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

たたえちゃんの映画感想、余談にへ理屈叔母さんも登場。



「大奥」と「沈まぬ太陽」

立て続けに2本の日本映画を観た(ダジャレか)。

まったく私はブームに乗り遅れていると思うんだけど、その時はあんまり興味が無かっ

たので仕方がない。ひょいっとブームに乗れるような、フットワークの軽い女ではない

のかもしれない。


「大奥」は、豪華なキャストで素晴らしい映画だった。

仲間由紀恵さん演じる主人公、絵島は、凛とした女性。今で言う叩き上げのキャリアウ

ーマンなのだろうか。衣裳もため息の出るような豪華なものだったが、特に大きな金魚

の打掛が印象的だった。

天英院を演じた高島礼子さん、初めて作品として演じる姿を見たけれど、美しいわ、上

手だわ。また、宮路の杉田かおるさん、滝川の浅野ゆう子さんも、文字通り恐ろしい演

技で目が離せなかった。

ただ残念だったのは、最後の主題歌。今までのイイ感じがすべて興醒め。何だったんだ

ろう?

ギョーカイ的にいろいろなしがらみがあるのかもしれないけど、ここまで良い映画を創

ったんだから、最後まで丁寧に、手を抜かないで欲しかった。

主題歌も映画の完成度に深く関与するんだと、あらためて気づかされました。


次は、「沈まぬ太陽」。

原作を読んでいました。最近になくのめり込んで読んだ小説でした。サラリーマンて不

条理だよね。

私は、あの事故の時、小学生だった。ちょうど夏休みで東京の叔母の家にいて、テレビ

で事故を知り、その2日後に羽田から飛行機で山形まで帰って来る予定だったので、と

ても怖かったのをよく覚えている。

事故の直後は、事故原因も墜落した場所もよく分からなかった。だから「飛行機をキャ

ンセルして、新幹線で帰る。」と何度も言ったのだが、叔母は「事故の直後は、整備と

かいろいろ気を付けるから、大丈夫だよ。」とワケの分からないことを言った。さすが

私の母の妹である。座席は翼のすぐ近くだったので「墜落したらさ、あの翼のところか

ら滑り台みたいにツーっと滑って逃げれば良いんだからね。」とも言われた(汗)移動中

は、一緒に付き添ってくれた叔母の手を握って、ずっと固まっていた。


余談が長くなったけど、そういう訳で、観たかった映画のひとつでもあった。舞台あい

さつで号泣した渡辺謙さんのこともテレビで見ていた。上映期間中、映画館に行って、

別の映画を観たけれど、沈まぬ太陽が上映されている劇場の前で、もう1本観ようかど

うか、ちょっと考えたこともあった。だったら観れば良かったんだけど、その時は気持

ちが整わなかったのだ。

しかし、この映画は、ちゃんと映画館で観たかった映画だなぁ、と今さらながら観て、

しみじみ思った。


戻る