●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、この辛さをわかってほしいのに…、って。
夏の終わりに(3)
暑さ寒さも彼岸まで、昔の人はよくいったものだ。
15号台風が関東地方を駆け抜けると、この言葉を裏付けるように空気が入れ替わって
急に冷え冷えとした。私の手足も冷たくなってきて、秋風がなんか体の隙間を通り抜け
るよう。
この違和感はなんなんだろう。そう、私はこうした季節の変わり目に体調を崩す。疲れ
やすい、寝付けない、胸がドキドキする、食欲はあるんだけど胃がもたれる、なんてい
う不定愁訴がいくつもならぶ。
きっとその季節になじんだ神経がだら〜んと緩んだところに、次の季節がやってきて慣
れずに神経がぴ〜んと緊張し、神経が混乱するのかも・・・
「一体、何年人間やってるのっ! しっかりするんだってばっ!」
自分を叱りつけ、過去にもこんなこと何度も起こって乗り越えているんだし、なんとか
なると必死で自分をなだめる。
ある友人と食事をして、「私って弱いのよね〜」って愚痴をこぼすと、
「あら、よく食べるし、とてもそうは見えないわよ。それって、思い込みじゃないの?
気合が足りないのよ、気合!」って叱られて私はますます落ち込む。
もうひとりの友人は「なーに、人間そう簡単には死なないから…大丈夫だって」なんて
楽観的で的はずれななぐさめをいう。そりゃ、別に生きるの死ぬのって問題ではないん
だけど、そんなにおおざっぱに言わないでよね…と私はまたうなだれる。
人が不調のときにかける言葉ほどむずかしいものはない。