思いつくまま、気の向くまま 文は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
今回もシャンせんせいお得意の近代史見立てシリーズ。
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8月8日。あまり上等とはいえない語呂合わせでつくられた○○の日にならえば母の日か
と思ったら、パチパチと算盤の日だとか。
「そろばんをはじく」という言葉がある。そろばんという言葉から計算高い、金に細かい、
けち、欲張りなどに転化されてつかわれる。
「そろばんをはじく」という言葉は死語だと思っていたら、どっこい永田町に残っていた。
とっくに死に体になっている首相を引きずり降ろさず、皆さんいかに動いたら自分が得を
するかとしっかり「そろばんをはじいて」おられる。
66年前の8月8日も大変だった。
7月にポツダム宣言を突き付けられ、一昨日には広島に原爆投下、まさかと思ったソ連が
戦宣布告をし、明日は長崎という日であった。
前年戦争指導に失敗して引きずりおろされた東條首相に代わった小磯内閣も為す術もなく、
戦争終結を目的として発足した鈴木内閣も軍部、主に大きな敗北のなかった陸軍の猛反対
に遭い終戦への道を模索していた。
この勝負どうなったかというと、みなさんご存じのとおり当時絶対的な権能をもっていた
昭和天皇の裁定で終戦となった。
この時の騒動をいまに置き換えるとよく似ている。
民主党、野党の一部良識派が鈴木首相。負け戦を認めようとせずに、あれこれと屁理屈を
もちだして延命を図ろうとする軍部が菅首相。こちらの勝負も止まるところを知らない。
この勝負、民主主義の下では絶対的な権能を持つ国民は知らん顔。
ひたすら勝負に励むのは、己の保身に「そろばんをはじいて」いる永田町の先生方のみ。
さて、どちらも決定打をもたない勝負、うまい具合に二一天作の五となりますかどうか。