●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、朝顔に感動させられてるようです。



朝顔と私の関係

今年の夏はエコの夏。節電の夏。

新聞雑誌の広報で日差しをさえぎる緑のカーテンが盛んに奨励された。

というわけで、西日の当たる我が家の窓辺に是非試してみようと私は決意を固めた。何を

大げさなといわれるかもしれないが、なにしろ植木鉢の花をよく枯らしてしまうので強い

決心がいるのである。

ちょうど、頂いた朝顔の種が少しばかりあったので、元手もいらず、もし万が一枯れても

損害なしと、まず気を楽に持つことにした。

とはいってもささやかな投資はプランターと、赤玉土、腐葉土を2袋づつ、花屋のおじさ

んの育て方の説明がついてしめて1800円也。

種を蒔いたのは6月の中旬だったろうか。ひょろひょろと頼りない双葉が出たときはこん

なのが果たしてカーテンほどになるのだろうかと気をもんだが、待つこと、一月半。

つるが伸び、葉が茂り、なんと今では窓を覆う立派なカーテンとなった。しかも8月頃か

ら花も毎日欠かさず二つ三つ咲かせてくれるではないか!

私のしたことといえば、種をまく、発芽後間引きをする、つるをからませる柱をたてる、

水遣りを欠かさない、ただそれだけ。

なのにこんなに大きくなってくれるなんて!

あの小さな種にこんな生命力を秘めているなんて!

しかも、ピンク、青、紫の花を次々と咲かせてくれるなんて!

「参りました!」もう、朝顔に対して感激と畏敬の念で一杯である。

そして、学んだことは「朝顔は裏切らない」。

毎朝律儀に咲く花をみては、私は「おお、なんとけなげなことよ」と可愛くて、抱きしめ

たいくらいなのだ。今はどんな花よりも美しいと思う。

そして、私は暑さをものともせず、毎日庭に出て蚊にさされながら嬉々として水遣りをす

る。明日の花を信じて・・・

こうして今、朝顔と私は固い固い信頼関係で結ばれている。


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