5/9のねこさん       文は田島薫

梅ちゃんとのやくそく

先週はじめごろの朝、燃えるゴミを置いて帰って来たら、となりの玄関のステップに、梅

ちゃんが座ってるのと目が合った。お、梅ちゃん、って言って近づいて行く、こんな時、

うまちゃんだったら、すぐに逃げ出してしまうとこなんだけど、梅ちゃんは平然と動かな

いでこっちをおもしろそうでもないような顔して見上げて待っている。頭をちょっとなで

てから、今度はあごの下をなでてやると、首を伸ばしながら間もなくゆっくり立ち上がり、

しばらくそのままの姿勢でいたけど、私がなでるのをやめると、ゆっくり向きを変えなが

らわきの方へ歩いて行き、2階への外階段の裏へ歩き去ってしまった。


や〜きょうもあったかいもんだから、こないだに続きまた外出てきちゃったよ、しかし、

ひとりでのんびりくつろいでるのはいんだけど、人が来るとほんとはめんどーでやなんだ

よな〜、でも、ぶあいそで売ってるあいつとちがって、こ〜見えても、ぼくは人にも気つ

かう方だから大変なんだ、できればだれも来ませんように、つってると、また、人が来た

ね〜、やっぱり、となりのあの間のわるい人か、しょーがないね〜、おいおい、笑ってる

ね〜、こっちへ来てぼくをなでるんだろうね〜、やだね〜、でも、こないだ、やくそくし

ちゃったからな、来た来たなでたなでた、お、こんどはあごかい、ねこはそこが気持ちい

い、ってことになってる、ってかい、ぼくはほんとはそこがいちばん気持ちわるくてやな

んだけどね、なでおわった?も〜いいかい、じゃ、ぼくはもう行くね。


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