●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
子供たちの心の傷について。



シリーズ 震災余話

禁じられた遊び

余震が続く。

寝ようと思って布団に入るとぐらぐら。なんだか体が年中揺れているようだ。

いっそのことハンモックにでも寝てみようかしらん…地震の揺れともハンモックの揺れと

もわからず心安らかに夢の世界へ…

そんな愚にもつかないことを考えてしまう。

横浜で感じる余震なんて知れている。

被災地の避難場所で暮らす人々は一番強い震度を体験しているだけにもっと恐怖感に襲わ

れていることだろう。まざまざとあの忌まわしい光景を思い出してしまうことだろう。特

に子供たちはトラウマとなって過剰に反応したり、うなされたりしていることだろう。

目の前で家が流されたり、身近な人を亡くすなど大きなショックを受けている子供たち。

大人は子供の心は柔らかで屈託がないと思いがちだが、客観的な判断ができないぶん、も

っと不安なはずだ。

日にちがたつと新聞は震災被害報道一色からなんとか明るい話題をと、とかく屈託なく明

るく笑う子供たちの写真を好んで載せて、被災地の希望のシンボルに使っている。

ところが、先日ある新聞で幼い子供の間で「災害遊び」というのがあり、重ねた積み木を

壊して「地震ごっこ」をしたり、「葬式ごっこ」したりしているという記事が載っていた。

やっぱりという思いだった。だいぶ古い映画だが「禁じられた遊び」を思い出す。戦争で

肉親を失った子供が十字架を立てて遊ぶシーンのある映画だったと思う。

こどもの目は鋭い。大人の言動をつぶさに観察して遊びにも体現していくのだ。そうする

ことによって本能的に自分の心を癒すための必死の努力をしているのだと思う。こどもの

遊びはそのときの社会のありようをそのまま映し出している。



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