●連載
がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

心配の中の気づかい合い。たえちゃんとこの被災報告シリーズの4だす。



被災地の隣にて その4

コンビニをはじめ、お店はどこも開いていなかった。街中が停電なので信号すら点い

ていないのだ。

「とりあえずのご飯はあるけど、これから先長引くようなら、どうしようかな…」っ

て本気で考え始めた。そう考えながら家に戻る途中、うちの近くの老舗のお菓子屋さ

んの前で、どら焼きを売っていた。モノを売っているらしいところが初めて見えた。

お菓子だけれど、食べるものには違いないので、夫と愛犬わたると小走りで道路を横

切り、どら焼きを買った。

「コンビニもどこも開いてなくてさぁ、食べ物が不安だよ。」とお店の若い男子に言

ったら、「もし草餅で良ければ、店の中に売っています。」と言ってくれたので、も

ちろん停電して薄暗い店の中に入って買った。若い女の子の店員さんは、そんな中で

も丁寧に対応してくれた。適正価格だ。どら焼きは緊急時らしく、普段より簡易包装

で値段も安かった。近所の老舗の菓子屋、頼りになるなぁ、と心強く感じた。(後日

談ですが、社長さんにその時の様子を語り、お礼を言いました。現在も社長さんはボ

ランティア活動を率先して行っています。)

帰宅途中、近所の一人暮らしのおばさんに会った。「大丈夫ですか?もし何かあった

ら言って下さいね。」と声をかけた。うちの母がいつもお茶飲みをするお友達なのだ。


家に戻ってきた。さぁ、これからどうしようか。。。


夫が「実家の様子を見に行ってくる。それから、車につなぐ携帯の充電器を買って来

る。」と言った。信号が止まっていて危ないので、自転車で行くことを勧めたが、車

で行ってくると言うので、帰宅時間の目安を決めて見送った。仕事に行っていた母も

帰ってきて、実家の祖母のところに様子を見に行くといったので、さっき買ったどら

焼きを持たせた。

夫は時間通りに帰宅し「実家はオール電化だから、どうしようも無かったけど、お父

さんがカセットコンロ出して使ってた。」と言っていた。

それから、無事に充電器を買ってきたので、急いで車で携帯の充電をした。外に出た

らもう一人近所に一人暮らしをしているおじさんが家の前で作業をしていたので、

「大丈夫ですか?」と声をかけたら「大丈夫だ。」と笑顔で力強く答えた。


携帯の電源を入れ、メールチェックをすると、友達からの安否確認のメールが相次い

でいた。仙台、福島などの被災地の友人からも安否確認のメールが来ていた。もちろ

ん、近くの小学校に避難しているという友達もいた。従兄からも「実家の電話が繋が

らない」と連絡があったので、すぐ伯母の家に家に電話をしたが、やはり繋がらなか

った。。


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