サニーイズム             文はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だより。
万能サニーは樹の上で仕事しながら余裕です。



「樹の上のひと」

ここんところおかしな陽気が続いているせいなのか

家の垣根のドウザンツツジがどんよりとしていて

いつもの年のように真っ赤にならないでいる。

数十年楽しませてくれた庭中のモミジは恐らく今年で

枯れ朽ちるんじゃないかと思う。昨年に木喰い虫に

やられていたのを見落としてしまった自分が悪い。

幹の途中にうまい具合に挿し木に成功し、二種類の

モミジとカエデの葉で長年楽しませてくれていたのに

今年はすでに晩年。知恵が欲しいけどだめか。




伸ばすバカに伸ばさないバカ、切るバカに切らないバカ

知らなきゃいいものを知らされたばかりに、途方にくれ

ながら庭木をいじりに忙しい。

ジーパン姿で梯子に登っているのだから、どこから見ても

素人丸出しなのが幸いし「精が出ますね〜〜」とか

冷やかしの旦那衆の声が過ぎても、あんがい鈍感になった。


ってわけで、今日ももっさりと繁った金木犀に梯子を掛け

小枝を下ろしつつ眺める。

たかが3〜4メートルの高さでも、それは面白くて散歩

する人が上目使いに挨拶したり、通リ抜ける車ん中が

まる見えだったりする。やせっぽちの女の子がジョギングで

抜ける。昨日は素知らぬ様子だったのに今日は上目使いで

会釈をする。一緒の犬も顔をあげスキップ気味。

幼稚園のころに何度も挨拶していたあの娘がもう中学生

なんだねえ・・・と樹上で思った。


あっちを切りこっちを切り、すっかり理髪店の帰りみたいに

風通しがよくなっちゃって冬を迎える金木犀は、これで

いいんだろか?と不安げな夕方であった。




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