10/11のねこさん       文は田島薫

ねこさんが突然来た

ねこねた使いはたしちゃったんで、いよいよおふくろに聞いた、ねこさんがうじゃうじゃ

いるって家へ行ってみよう、って先週の午後、自転車で出かけた。今度はきっちりおふく

ろに確認して行った間違いないはずの家の庭(前回もここは見たんだけど)には、ねこさ

んは見えなかった。帰って来て、ねこさん見つからなかった、っておふくろと家人に報告。

おかし〜ね〜、いっぱいいるんだよ、っておふくろ。しかし、困ったな〜ねこねたなしで、

って思ってると、廊下の方でおふくろと家人の声、ほらほらねこねこ、ちょっと来てごら

ん、って。行ってみると、池のそばに、毛の長い白地に薄茶模様の小さめのねこさんがた

たずんでいて、ふたりと私を交互に見ていた。おふくろたちがおいでおいで、などと言っ

てると、コンクリの小さな手作り橋を渡ってこっちへ歩いて来たんで、ガラス戸を開けよ

うとしたら、さっと裏手の方へ逃げてしまった。


や〜、ぼくがこのあたり散歩してたらさ、なんだかだれかがぼくを呼んでるような気がし

たんだよね。ぜひぼくに会いたい、って言われてる気がしてさ。変だな〜、って思いなが

ら呼んでる気がする方へ入って来たところ、池があってさ、あれ?ここの金魚が呼んだの

かな?食べてくれってか?まてよ、金魚が食べてくれ、って呼ぶわけないし、って思って

顔上げたらさ、向こうに人が何人かいて笑ってんだ。この人たちか?ぼくを呼んでたのは。

なんの用なのかな?あれれ?おいおい、ぼくが食べられる側か〜、この人たちに、だから

喜んでるんだ。さて、このまま逃げると後ろから網かけられてつかまっちゃうかもしんな

いから、ここはわざと近づくふりして、こーやって、さっと逃げちゃおー。


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