●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、ベトナムへ行ってきました。その土産話シリーズ。



ホーチミン旅行(1)

バイクの多さに仰天

ホーチミンはバイク大国である。

交通手段の殆どがバイクなので道という道はバイクが行き交っている。それもハンパじゃな

い。老いも若きも男も女も、ヘルメットをかぶり勇ましく格好いい。排気ガスや砂埃が立つ

ので殆どの人がマスクに眼鏡をつけ、マスクといってもカラフルで鼻・口・覆い、首の後ろ

で縛っているので表情が隠され、まるで月光仮面か仮面ライダーのようだ。

二人乗り、三人乗りはもちろん、私は最多の家族5人乗りを見た。

ガイドの青年によると、ここではバイクを持っていないと恋人は出来ないそうだ。歩くのが

嫌いなベトナム人、100メートル移動するのもバイクだそうだ。そのせいか歩道を歩いて

いる人は殆ど見かけない。所々歩道もバイクで占拠されている有様だ。

まだ車は少なくて、その車がどけどけとやたらとクラクションを鳴らすのだが、びっしりつ

ながったバイクはまるで戦車軍団のようで動じない。

交差点で信号待ちをしているところでは、ぎっしり埋め尽くされたバイクが、ちょうど市民

マラソンの選手がスタート地点でいまかいまかと号砲一発をまっているような状態で壮観。

歩行者優先なんて親切な制度はないし、信号無視やお得意のゲリラバイクがいるので、横断

するには決死の覚悟がいる。コツは走ったり止まったりはダメ、悠然と渡ればいい、という

のだが、やっぱり怖い。

以前はホーチミン市内だけでも交通事故で死亡する人が1日50人もいたというから驚きだ。

その後ヘルメット着用が義務付けされて30人に減ったという。

当然それほどバイクが普及しているので、バイク屋や関連商品の店も多い。最初は到着後バ

スでホテルに向かう車窓で、私は勘違いして、この町はバイク屋ばかり?と驚いたのだが、

店先に並んでいる駐車バイクを売り物と間違えたのだった。

中国は今では自転車からいきなり車社会に移行したが、ベトナムでは車道の狭さや駐車場の

問題など課題が多いので当面難しい。


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