9/21のねこさん 文は田島薫
ちょっとおあいそ
ほんの1週間前までの猛暑の時は、ねこさんを見つけるのがなかなか大変だったんだけど、
先週あたりから、少し涼しい日は、あちこちでねこさん見かけるようになった。
先週末の夕方も、飲み会のため家人と第二の最寄り駅の方へ歩いていると、ここ10年足ら
ずのうちに何軒も個性的な家が立ち並び、以前にも時々ねこさんを見かけたあたりの、どっ
かから、白いうさぎみたいなねこさんが出て来てこっち向かって歩いて来る。
お、ねこさんだ、って家人とふたりで手招きのようなしぐさしながら歩いてたら、ねこさん
の方もこっちを見上げながら姿勢を低くしながらとととと、道のわきの方へ小走りして、わ
れわれのすぐ手前でごろんっと腹を出した。お、なれてるね〜、ってふたりで近づいて、身
をかがめ手を出して頭をなでようとしたら、急に立ち上がり、すっと、よこの坂をとととと
駆け上がって行っちゃった。
や〜、けっこう涼しい風が吹いたいい夕方だね〜、お、向こうから人間の二人連れが来るけ
ど、ぼくのこと、気づいてるのかな〜、なるべく気づかれないように、こ〜、身を低くして、
静かにわきの方を歩いて行けば、って見上げて見れば、ふたりの顔と目がしっかりこっち向
いて、しかもこんなにどんどん近づいて来ちゃった。いかん、死んだふりしよう。ごろん。
って、あきらめて行っちゃうかなと思いきや、またこんなに間近で目が合っちゃった、おま
けに手が伸びて来た、やばいっ、や、こんにちは、って、ちょっと笑って見せて、と、あっ、
ぼく、急に用を思い出しちゃったもんで、しつれー。