思いつくまま、気の向くまま 文は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、「安物」連想で、あっさりオチを決めた模様。
いちばん安いの…
ここは銀座の四丁目。
ウイークデイの銀座では、仕事で歩く人以外はみな金持ちにみえる。
『ともがみな われよりえらくみゆるひよ…』啄木の心境である。
あちらがでっぱりゃこちらがひっこむ。そんな金の心配はしたくない。
目の前に宝くじ売り場がある。そうだ宝くじだ。一等とはいわない、二等で充分。
そんなことを考えていたら、初老の紳士が視界をさえぎった。
売り場に首をつっこみ「いちばん安いのはどれだ」と、関西訛りで聞いている。
その日は、オータムジャンボ、東京都、ロトと三種の宝くじを売っていた。
風体からみて、大手の部長クラスか役員というところ。値段をしらないので、宝くじには縁の
ない人だろう。どんなつもりで宝くじを買うのか興味をもった。
どうせ当たらないのだから安いのを、と思ったのかどうか…。
一般に大阪人はケチだというが、あながちそうとも思えない。割前勘定、ワリカンもケチの代
名詞のようにいわれるがこれは違う。合理的な勘定なのだが、時と場合をまちがうと人とのつ
ながりを損なうことがある。
大阪人は、金の使い方が上手い。東京者みたいに義理や見栄で無駄遣いをしない。その勘所は
独特だ。自分を大切にし、自己主張もしっかりしている。中国から一本とった橋下大阪府知事
の啖呵は見事なものだった。
こういう性格は外交にむいている。外務大臣や外務省は大阪人でかためたほうがよさそうだ。
そうすれば今度の中国人船長事件のような無様な姿を世界に見せないですむ。
金の使い方に「安物買いの銭失い」という言葉がある。
この伝でいうと民主党政権は、とんだ「安物買い」であった。だからと言って自民党が「よい
買い物」と言えないところが情けない。