思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、今年は余裕の気分で出かけました。



ココ通ネタも神頼み



「もう繁盛しなくていいから、わたしはパス」という。

「もう少し続けてよ」というありがたい言葉に残務整理のような仕事を続けているので、

たしかに老妻のいうように繁盛する必要はない。

「困った時の神頼み」というが、つごうがいい時だけお参りをして、用がなくなったら

「はい、さようなら」も気がひける。


今年は二の酉までしかなく、天気も良いから混雑すると思って間抜けな時間に出かけた。

ところが予想に反して混雑していた。

整理の警察官が「このまま、真っすぐ行くと一時間待ち、参拝を急ぐ方は次の横断歩道

を渡ってください。すぐにお参りできます」と言っていた。

この言葉を聞いて「あれっ!」と思った。次の横断歩道は参道の入口である。混雑する

ときはここからは入れてくれない。行ったはいいけど列に並んでくださいと言われたら

どうしよう、と思いながら言うとおりにすると20分ほどで参拝できた。

考えてみるとこれはおかしい。たまたま警察官の言葉を聞いたから楽に参拝できたけど、

聞かなかった人は無駄な時間をつかう。

これは、漁船衝突映像流出事件によく似ている。その趣旨は正しいのだが行為には疑問

が残る。衆人に知らせるならプラカードかなにかにすべきだろう。と、屁理屈まがいの

ココ通ネタを授けてくれたお酉さまに感謝しながら熊手市をひやかした。


ほどよく混んだ市の一隅にいつものおばあさんをみつけた。とうに八十歳は超えている。

いつのまにか粋なおかみさんが、粋なおばあさんになっている。

そろそろ“お歳の曲がり角”に近づくとつまらないことを考えるようになる。

このままで悔いはないのか…。この先やりたいことは…。

しかし、このおばあさんを見ると、生きがいのある人はそれに一生懸命になり、ない人

は日々目の前におこることに真剣に向き合えばいいと教えてくれる。

「わたしだって、あっちも、こっちも痛いんだから」と笑って答える。

今日は、警察官の一言とおばあさんの元気な姿。二ついいことがあった。

そのおかげか恒例妙見様のおみくじは大吉、ココ通のネタも拾えた。


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