11/8のねこさん       文は田島薫

ねこさんの森林浴

先週、いつものように自転車で食料の買い出しに行く途中、ねこよこちょうを抜け、きょ

うはねこさんいないか〜、って思いながら路地を曲がり、太い通りに出るすぐ手前でねこ

さんに会った。ゆっく歩いて路地を横切ったねこさん、向かいの家のフェンスのすき間か

ら角の安普請そうな(オイオイ、シッケーだろ)のわりに充実した植木が植わった庭に入

って行った。じっとながめていたら、物置きのかげに姿が消える直前、植木のこんもりし

た中で後ろ姿が止まって、じっといつまでも動かなかった。


散歩散歩、や〜、いい季節になったもんだね〜、気持ちいいころあいの気温だし、空気も

澄んで、木々の木の葉のにおいがぼくを酔わせるね〜。木の葉のにおいに引き寄せられる

ようにぼくの足はどんどん進んで行くね〜。よいしょ、ってこの段を上ってから、ここを

くぐり、ほら、一段と木のにおいが豊かになったね〜。木々に囲まれたこういった森林に

ぼくは飲み込まれて行くんだね〜、お〜、すんごい、この完全に行く手を覆う木と木の葉

の世界。ん〜、しびれるね〜、この、ふぃとんちっどの香り。なんだか心と身体が洗われ

るような心地よさ。この大森林の中では、時間が止まったよ〜だね〜。ここはどこ?ぼく

はだれ?


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