●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさん、すべてにいいこと、って難しい、て感想のようです。



シリーズ あんな話こんな話

政府管理?個人意志?

ちょっと前の新聞の見出しだけれどこんなのがあった。

「高校無償化に思わぬ逆風」

4月に始まった高校授業料無償化で、事故や災害の遺児を支援する「あしなが育英会」に

募金は不要になったと誤解され、寄付してくれるあしながおじさんが相次いで辞退してい

るというものだ。

せっかくあしながさんという個人の意志で人助けという美風が育ったのに、政府が介入し

て公金をばらまいて救済することで、人々の“あいみたがい”の精神がつぶされるのは残

念だ。世の中ますます我関せずの風潮が増長されていくのではないだろうか。

税金から子供の教育費を負担するようになると、人々の意識はその投資効果を強く求める

ようになるだろう。

例えば、巷で勉強もしないでぶらついている高校生を見たとき、「しようがないなあ」ど

ころではなく、「国民の血税を投じているのに何をしているんだっ」と必要以上にムカッ

ときて高校生への風当たりは強くなるかもしれない。そして学校への要求も厳しくなり、

子供にもっと勉強させろ、ああしろ、こうしろと干渉するようになるかもしれない。


話は変わるが、最近長年懸案だったアメリカの国民健康保険制度が小差で議会を通過した。

権利意識の強いアメリカでなぜ国民保険が根付かなかったのか?

個人主義で自己責任の感覚が強いからとか、政府が人を管理するのを好まない自由主義だ

からとか、これ以上税金を投じたくない富裕層の反対とか原因はいろいろあったようだけ

れど、一つに慈善という精神が根付いており、持てるものが持たないものへ施す善意の場

があるからだと聞く。

アメリカ人はcontributionが好きだ。

昔、日本にも江戸時代なんか困ったときはお互いさまという精神が生きていた。

もともと人は困っているとき助けられるとありがたいと思うし、困っている人を助けるこ

とにも喜びを感じるものである。

世の中が成熟してくると、義務と責任の管理社会かそれとも自由気ままな個人社会か…得

るものもあるが失うもの多い。



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