●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、これから何回かは大好きな沖縄土産話です。



シリーズ あんな話こんな話

沖縄の夕日

「一葉もどきはただ今より普天間移設問題で悩む民主党に替わり名護市の現状視察に行っ

てきます」

というのは真っ赤な嘘で、沖縄行きを決めたのは単なる寒さからの脱出である。

もちろん首里城やひめゆりの塔などの観光スポットはメじゃない。

ひたすら燦々と輝く太陽、サンゴ礁の海、熱帯植物の緑を求めて♪はるばるきたぜ、オキ

ナワ♪なのだ。 

沖縄へのあこがれはどんどん膨らんで、那覇空港に着いて南国特有のもわっとした空気と

ランの花のお出迎えを受けたときはかなりテンションがあがっていた。

その勢いをかって鼻を膨らませレンタカー屋へ直行。名護市にある西海岸のリゾートホテ

ルを拠点に、中北部の海岸沿いをドライブして過ごそうという魂胆だ。

滞在中ずっと車を借りる予定だったが、気候は暖かいが懐は相変わらず寒いので、名護市

にも営業所があるという情報に、節約、節約と4日間にした。しかもキッチン付きホテル

なので食材を買っての自炊生活をしようというケチケチ旅行である。

那覇の空はあくまでも青く、気温は25度、ヤシの街路樹、初夏のように深い緑色の景色、

高速道路は車少なく快適で期待を裏切らない。

ホテルに着いたのが夕方6時頃で太陽がちょうど沈みかけていた。夕日が海に沈む場面が

見られそうだ。

12階の部屋のベランダからワクワクしてその瞬間を待つ。



太陽はまるで意志があるかのようにぐいぐいと海に沈んでいった。そして海に入る一瞬、

ジュ、ジュッと音が聞こえたような・・・

時計は6時26分をさしていた。



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