7/5のねこさん 文は田島薫
ダンディとらさん
先週の晴れた日、自転車で食料の買い出しに行く途中、ねこよこちょうの手前角の家の前
にねこさんがふたりいた。
ひとりはしろで、もうひとりは、いつもそこで庭ひとりじめしてたとらで、しろは庭に入
ろうとしてて、とらは外へ出ようとしてて、おたがい立ち止まって、しろの方はとらに、
なにか言ってるんだけど、とらはしろの方を見ずに無言で歩き出して、道路に出て、ちょ
っとまた立ち止まり、ながめてる私の方をちらっと見てから、またゆっくりと向こうへ歩
き出して、そのまま道路をずっと向こうへ小さくなるまで行ってからやっと、右手の家の
敷地に入って消えた。
のんびりひとりじめでくつろげたここんちの庭も、この頃じゃ、みんながくつろぎに来る
ようになったもんで、孤独を愛するぼくとしては、少し残念なんだよな、さて、そろそろ、
他の連中が集まって来そうな時間だから退散するとしようか、お、しろが来たな、なんだ
って?いっしょに寝転がってお話しよう、ってか、やなこったい、だいたいねこ、っつー
もんはひとりでいるからかっくいーもんなんであって、なんびきも集まってもの欲しそう
な顔してんのは、ぼかーぼくの美学がゆるさないんだ、ほっとこー、パスして歩いて行く
ぼく、ん〜ん、実にかっくいーね〜。お、だれか人間が見てるね〜、ぼくがかっくい〜、
って思ってんだろ〜な〜、このゆっくり落ち着いたぼくの歩み、よく見てよ〜。ね、ね、
すぐとなりんちへ入ってしっこしようと思ってたんだけど、こ〜見られちゃしょーがない、
サービスしてやって、もっと歩いてってやっか。ゆっくり、ゆっくりと、ん〜ん、実に、
かっくい〜、ぼく。