1/12のねこさん 文は田島薫
小道具にされたねこさん2
ここんところ異常に寒いもんで、ねこさんたち、外へは出ないことに決めた模様。
なわけで、今回のねこさんはテレビの中のそれ(またこんなで読者が離れてゆく〜)。
ちょうど一年前、テレビに五木寛之が出てて、居間風のセットのテーブルの下に緊張し
たねこさんがいた、って話を書いたんだけど、先日も同じようなセットで同じ男女のア
ナウンサー相手に五木さんが話してて、あー、これは前に見た時と同じ企画の番組だな、
最後にテーブルの下にねこさんいたんだよな〜、今回はやめただろうな、あん時のねこ
さんカチンカチンだったから、って思いながら、ねこさんのことは忘れて話に耳傾けて
たら、そろそろ終わりらしく、じゃ、ありがとうございました、ってカメラ引くと、座
談者たちの向こうの出窓状の台の上にねこさんがいるのに気がついた。ねこさん、大き
く伸びをして、少し歩いてみたりして前回のねこさんよりリラックスしてたから、あ〜
よかったね〜、試行錯誤して、スタッフやっと成功にこぎつけたのかもな〜、って、祝
福してやる気分だった。
や〜、先輩にあのライトいっぱいついたへんな部屋はやだぞ〜、っておどかされてたん
でぼかーすごく心配してたんだけど、なんでも、せまいテーブルの下に押し込まれて、
左右前後から人の足で見張られた上、時々、でかい鉄のかたまり持った人にのぞかれて
はイカクされるんだ、逃げ場がないんだよ、って、ことだったんだけど、鉄のかたまり
から一番遠い台の上に乗せてもらえたし、ここなら左右見渡せるし、ちゃんとおかーさ
んの笑顔も見えるし、いざとなったらぴょん、って逃げることができるし、安心なんだ。
みんなぼくの方は見ないで忘れてくれてるようだから、ちょっとこのあったかいとこで、
どっかのおじさんのやさしそうな声を子守唄に一寝入りしちゃおう。寝るネコより楽は
なかりけり、浮き世のカバは起きて働く〜。