●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさんは、アイデアクラス会の続き。


はとバスツアー漫遊記 その2

昼食は大田道灌ゆかりの「和膳道灌かがり」という料理屋だった。お店の人がなにやら

太田道灌とのゆかりを説明していたが、わいわいがやがや高校時代とまったく同じで聞

いていない。

ようやく全員同じテーブルにつき、ビールで乾杯となったが、お昼だし、次に回る所も

あるしで意気があがらない。

とにかくお腹が空いていたので、箱入り御膳をがつがつと食べる。それも高校時代と同

じ光景だ。

お腹がいっぱいになると、ようやく昔話がでてきた。

「俺さ、あんときちょっとバイトしてたんだよ。ラーメン屋の出前。俺んち文京区だっ

たろ、近くに新劇の稽古場があってさ、ラーメン届けにいったら、いきなり山本安英が

でてきてすっごく愛想よく、ごくろうさん、って500円のチップまでくれたんだよ。

山本安英って貫禄みたいのがあってさ、なんかオーラがでていたよ」

一同「へえ〜」である。

「山本安英って、あの“夕鶴”のおつう役でロングランした女優だろ」

「そう、今の森光子みたいなもんだ」

「でも、タイプは全然違う」

なんて話からしばらく演劇談義。

せっかく話が佳境に入ったのに時間に追われるツアーの悲しさ再びバスへ。



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