●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさんは、落ち目の航空会社と自分を誉めてます。



シリーズ あんな話こんな話

サービスも商品

先日の沖縄旅行には日本航空を利用した。例の経営破綻で政府管理下になり、今また

大量リストラで話題の会社である。

私の隣の席には老婦人が座っていた。一人旅らしい。フライト中に特別介護を受ける

バッジを胸につけている。そのため女性客室乗務員がなんども声をかけては行き届い

た世話をしていた。

途中飲み物サービスがあり、私がトマトジュースを頼むと「申し訳ありません。あい

にくトマトジュースはおいてありません」と目を伏せ腰を折り、いかにも申し訳なさ

そうな返事。こちらが恐縮してしまうほど。

笑顔もすばらしいし、応対が丁寧だし、介護といい、着陸後、乗り換えのお客にはそ

のお手伝いをするとのアナウンスまであり、親切だなあ、やっぱり日航のサービスっ

てすごいなあ、と思う。

そういえば外国出張の多いある人が言っていた。外国の空港では遅れや欠航や乗換え

に対してあまり情報がなくいらいらするそうだ。たとえ聞いてもとかく投げやりな応

対なので、海外でJALの飛んでる場所に着くと地獄に仏の気持ちになるという。

日本はすべての分野で細やかな配慮をする独特のサービス立国といってもいい。それ

は利用者の過剰なまでの期待要求と完璧主義で鍛えられたもの。

うーん、これは武器になるぞ!

今日本は経済が疲弊し、貿易も減少し、国際的存在感も薄れている。このきめ細かな

サービスと信頼性を売りにしよう。

“日本発の真心サービス売ります”

うーん、なかなかいいキャッチコピーではないか。(自画自賛)



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