9/14の日記          文は田島薫

瞑想の師

おふくろは消化機能が万全とはいえないものの少しづつそれも改善されてきてるよ

うなんだけど、ふだんの生活パターンに戻すのはなるべく緩慢の方がいいだろう、

って家族全員が考えてて、家人と私が家事などを代行してるわけなんだけど、そん

な日々にもけっこう慣れてきて、自転車で30分かかるところにあるスーパーまで、

家人が練習をかねて運転するおやじの車で、12〜3分かけ(早いけど、あんまり

時間短縮にはなってない)、何台もの車に追い越してもらいながら、のんびり出か

けたり(ハンドル握る家人の方は必死のようだけど)、両親といしょにワイワイや

ってるのも、個人的な自由が少し犠牲になってるのを除けば、それなりに楽しい貴

重な時間のような気もして、それほど居心地がわるいというわけでもない。

それに、さいたま市にいる時より多分空気もいい環境の中での早寝早起きの規則正

しい生活は健康にもよさそうだ。

午前と午後と夜、家事や風呂や食事を除いた合間の時間は、それぞれ2〜3時間は

あるわけだけど、どこかせわしない気分も抜けないもんで、とくに土日は、縁側か

らマティスの庭を臨む畳にあぐらをかいて李白や正岡子規の歌などを、ながめたり

しながら瞑想に励んでる(?)んだけど、縁側のそばにある手作りひょうたん池の

手前の巨大な葉の植物の葉の上にはほとんど毎日、小さい青蛙も瞑想している。

この青蛙の瞑想というか座禅はりっぱなもんで、われわれが起きる朝にはもうすで

に座っていて、日暮れに廊下のカーテンを閉める時まで、ずっと同じ位置でびくと

も動かずじっとしているのだ。

土曜はちょっと天気がわるかったのに、やっぱり青蛙は朝から座ってて、夕方小雨

が降って来たのにもめげずに同じ位置に座ってるので、感心しながら6時半ごろ見

てみたら、珍しいことに葉の縁まで数センチばかり移動してそれを前足でつかみ身

を少し乗り出すようなかっこうをしたまま動かない。試しに1時間後のうす暗がり

にまた見てみたらまだ同じ体勢でじっとしている。さらに1時間後見たらやっとい

なかったんだけど、朝見てみたら、彼が移動する前の場所は雨水で水たまりになっ

ていたから、さすがの師も尻だけぬれてる座禅はやっぱりやだったようだ。


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