10/13のねこさん       文は田島薫

大あらしが来るよ〜

先週の火曜だったかは、明日から明後日にかけ、ちょうど10年ぶりぐらいの大型台風が来

る、ってテレビで騒いでたんで、食料の買い出しを早めにまとめてやっとこう、って家人

と自転車でいつものマーケットへ出かけ、大荷物積んで帰って来る途中のねこよこちょう

の手前の家の玄関前にこっち向いて座ってるねこさんがいた。

けっこう前の冬、そばのエアコンの室外機の上に乗ってて、家の中に入りたいもんで、だ

れかが中からドア開けてくれないかと、横目で見ながら待ってた彼だ。

きょうは、ドアの方には完全に背を向けて、道路のわれわれの方を向いて目で何か訴えて

るようなんで、おい、どーしたい、などと言ってみると、にゃ〜、って言う。だもんで、

また、どーしたどした、って言うと、にゃ〜、って言う。で、またまた、どーしたどした、

にゃ〜、ってのを、10回ぐらいくり返してから、じゃ、って別れをつげたら、悲しそうな

目でまた、にゃ〜、って言った。

人間のとーさん、ぼくを家ん中へなかなか入れてくんないもんで、いつも苦労してんだけ

ど、きょうはそれどこじゃないぞ、だって、とーさんどっか出かけちゃってるんだから、

大嵐が来る、っつーのに。だから、いつ帰って来るか道路見張ってるんだ。

これでもし、とーさんきょう帰って来なかったら、ぼくはこまっちゃうぞ〜。あ、だれか

ぼくの方見て、なんか言ってるぞ。なになに、こまっちゃってますか〜?って?、こまっ

ちゃってるんだから、ぼくのこたえは、ます〜。こまっちゃってますか〜?ます〜。こま

っちゃってますか〜?ます〜。こまっちゃってますか〜?ます〜。


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