10/5のしゅちょう 文は田島薫
(成功者の大変さについて)
人生の目的を持って努力してそれを達成した成功者にあこがれ、自分もそういう者に
なりたい、ってたいていの人は思うだろうけど、実際にそれを達成した、って思って
る人は少ないはずだ。だってそれを達成した、って認めた瞬間に人生の目的がなくな
ってしまう「不幸」に見舞われるわけだし、ふつうは人の欲望に切りがないからだ。
とは言っても傍から見て、上場企業の社長だとか官僚だとか政治家だとか人気作家や
音楽家だとか、あの人は成功者だ、って言えるような人は多くいる。
で、そういう人は自分とくらべて、全然楽しくて幸せだろうな〜、って羨ましいよう
な気がしたりするわけだけど、どうもそういった成功者たちの話を間接的にだけど見
聞きしてみると、楽ではないようなのだ。
一流企業のでさえ経営責任者は変化する市場での経営責任のプレッシャーに日夜苛ま
れて病気になり早死にする例も多いようだし、落選したらただの失業者になってしま
うプレッシャーのために、つい汚職に走り良心の呵責に耐える政治家とか、一度受賞
したため周囲から期待されてるのになかなか書けないもんで締めきりの日に大地震が
起きて東京の全滅を願う作家とか。世界一の人気バンドだったビートルズのメンバー
は、一番望むものを聞かれて、街のどこへでも自由に歩きまわれる無名の男になりた
い、って言ったもんだったのは、古今東西たいていの人気有名人が共通の願いだろう。
な、わけで、成功者はそういった苦労を引受けた上に、自分の志しを遂げる強い動機
を持ち合わせた人々なのだ。だから、そんな動機もなしに、ただ成功者になりたい、
って思ってるのん気なわれわれは、そののん気さこそが幸せの元と知るべきなのだ。
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