10/5のねこさん       文は田島薫

ねこよけの小道

日曜の午後、家人と久しぶりに自転車で図書館へ向かった途中、ねこさんいないかな〜、

って思ってたら、小さいしろねこが向こうから小走りに来たんで、お、って思ってる間も

なくどっかの家のフェンスの中へ入り、そば行ってみたらもう姿は消えてた。

忍者みたいなねこさんに会った。おわり。ってコラム想像してたら、また向こうの方から

出て来たしろとちゃの模様の同じぐらい小さなねこさんが、少しゆっくりと、こっちを見

ながら、ぼくを書くかい?って言ってるもんで(言ってないよ…しろちゃ後日談)、しろ

ねこ忍者さんはコラムへの主演とりやめが確定した(けっきょく通行人として出演)。

しろちゃはちょっと立ち止まり、さてこれからこっちへ入るからね、って目で合図してか

らそばの新築のしゃれた家のよこへ入って見えなくなったもんで、そばまで行くと、気配

りあるしろちゃは、ちゃんと姿消さないで、ゆっくり家のよこの小道を歩いている。

となりの家との狭い間のその家の敷地にある小道には手前からずーっと奥までねこよけの

水を入れたペットボトルが、尋常じゃない数並んでいて、しろちゃがそのわきを、知らん

ぷりして歩いて行くのをずっとながめてたら、向こうの方で、一度ふり返りペットボトル

の海越しにこっちをじっと見てるもんで、こっちもじっと見てたんだけど、この家、よっ

ぽどねこがきらいなんだね〜、って家人に言ったら、ちょーど目の前の玄関のドアが開き、

小ざっぱりしたきちんとした身なりの当人が出て来たもんで、それにはあいさつせず、し

ろちゃの方だけに、元気でな、って目であいさつしてからわれわれはその場を離れた。

いつもの通り道のこのあたりの人はど〜もぼくがきらいのようなんだけど、なんだかあっ

ちで、ぼく見てる人はそうじゃなさそうでめずらし〜ね〜。こっちこっち、ほら見てよ、

この道にいっぱいならんだこのへんな容器はあたりの美観をすっかりそこねてるって思わ

ない?せっかくきれいな家建てたわきにわざわざこんなもん並べるるあの家の主人は、ぼ

くを歩きにくくさせるいやがらせのためにしてんだぜ、ね、ど〜よ、この風景のだらしな

さ、きみらもそう思うでしょ?


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