11/24のしゅちょう             文は田島薫

(ずるいコマーシャルについて)

私は学生時代、広告デザインを専攻してたわけで、もともとその気なんかなかった消

費者に対象の商品に興味を持ってもらい買ってもらえるような表現をする、って目的

から、よく言えば「消費者の心理を誘導する」、わるく言えば、「勘違いでその気に

させる」、ってような、こともあまり悪質でなければ、いいんじゃないかみたいなこ

とを考えたりもして来たわけで、(例えば、北極のエスキモーに冷蔵庫売ったりでき

るセールスマンを見習え、などといったふうな)あまり同業者の悪口言うのも、どう

なんだろう、って気持もあるんだけど、それでも、広告の倫理を考えるといった組織

もあったりで、われわれ自身の問題としても、きっちり考えたい。

今や、IT時代と言われ、そこらじゅうに情報があふれ、商品などの消費者であるわれ

われも知らないうちに気持を誘導されているのだ。

例えば、毎日テレビで早く入れと人をおどかしてる、よく考えてみたら、本当に必要

なのかどうかわからない生命保険やら傷病保険。1日たったコーヒー1杯分の掛け金、

って言うけど、1年じゃ数万円、2〜30年もすりゃ100万円ぐらいをドブに捨てること

になる、とは言わない。そりゃ安心を買ってるんだから、とは言うけど、実際必要に

なって保険会社に支払いを要求すると、理屈をつけちゃ払えない、って言うことも多

いとは広告は言わない。

ハゲはみにくい、って論旨で言い切って、十分な効果がある証明もできないのに、大

丈夫、って言いながら、100%とはいえないが97%の方に有効だ、って高額な毛生え

ぐすりを売り、生えなかった客には、残念ながらあなたは3%の例外でした、って自

分とこの逃げ道を用意してる業者とか。

商品売り上げ第一位、などとテレビCMでスポットで謳うんだけど、自社製品の中で

って注釈はわざと省き、見たものの勘違いを期待したり。

そういったことにいくらぐらいかかるもんなんでしょう、って客役が問う、一見、誠

意があるような出だしのCM、業者の方も親切そうな口調で、わが社では料金の割引

きをしてますから安心です、って言うと、客役がそれなら安心ですね〜、って、どこ

が安心なんだ、ってのや。

情報時代で思考力鈍ってる人はけっこうだまされちゃう危険がある広告が氾濫してる

ようだから、気をつけましょう。





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