●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさんは、感動する絵の秘密を発見しました。


展覧会の絵

最近の展覧会の絵はなぜあんなに大きくなったのであろう。100号以上がズラリと並ぶ。

会場では比較され競いあう形になるので、大きいものほど目立ち存在感を増すからかだろ

うか。

なかには大きく描く必然性がないようなものもある。

いい絵なのかそうでないのか、ならば、いい絵とはどんなのか、絵の評価ほどむずかしい

ものはない。

抽象画などは感性の相性だけが頼りだ。

形を見る人、色を見る人、光を見る人、構図のバランスを見る人。

もちろん自由に見ていいものなので、観賞者の勝手である。

苦労して描いたとか、そんなつもりで描いたんじゃないとかの言い訳は通用しない。描き

あげた作品がすべてだ。


今回自分が出展し、受付をして気がついたことがある。

多くの来場者の人気を集めた作品に共通するのは、一定のレベルまで磨き上げられたテク

ニックと鑑賞者の棲む世界から逸脱していない絵。

いいかえれば、人は真理だと認められるものに出会うと感動するのである。この場合の真

理とは人間の営みに必要なもの、といったらいいだろうか。



戻る