●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、秘密にしてた(?)料理の大事な相棒を大公開しちゃってます。



ジンジャラー

マヨネーズをやたらと使う人をマヨラーというそうな。そうすると私はショウガをや

たらと使うのでさしずめジンジャラー。なんかパチンコで景気よく玉が出たときの音

みたい。

それもそのはずgingerには名詞のショウガのほかに動詞で元気づける、活気づけると

いう意味があるほど薬効がある食材なのだ。中国では漢方薬にも使われ、血行促進、

風邪、腹痛、冷え性に効くというすぐれもの。


私は炒め物に、タレに、飲み物にと隠し味のようにショウガのすりおろしを入れて、

「どうだ、手抜きなんぞしてないぞ!」とひと手間かけた満足感を味わう。

早速料理に試したい方は、暇なときに刻んだネギショウガを作って冷凍しておくとい

うウラワザがあるので面倒がらずにどうぞ。

では具体的な実践編を申し上げると、冬の定番鍋物のポン酢・みそだれ・ごまだれに、

中華炒め、煮魚には必ず、ただ蒸しただけの温野菜でもショウガを散らしてプラス醤

油マヨネーズで味覚アップ。あまからショウガ味噌を塗った焼きおにぎりは絶品だし、

さらにドリンクでは紅茶に入れたり、風邪対策の玉子酒にはネギとショウガが不可欠。

そして大好きな甘酒にももちろんで、鼻腔をくすぐるかすかなお酒の香りと柔らかな

甘さとショウガできりっと引き締まった風味は、まるで左党になったみたいに口から

お出迎えしちゃうほど。


左党といえば昔、下戸の私がバーなんかに連れて行かれて、おシャレなカクテルは強

くて強くて太刀打ちできず、小さな声で、「ジンジャーエール」と注文したのを思い

出す。このときはジンジャーの薬効のことなんかまったく知らず、ただジンジャーエ

ールというカッコいい響きで、バーでお酒を飲まないカッコ悪さを少しでもごまかそ

う…という苦肉の策だったのだけど。


こうしてなんとなくショウガに縁があって「ショウガの鉄人」を自認する私なのだが、

先日近所の奥さんにばったり会って立ち話。

ショウガの効能を披露すると、奥さん曰く、

「あーら、あーた、ウチではとっくにショウガ崇拝者よ。おかずだけなんてもんじゃ

ないわ。主食は炊き込みショウガごはんよ」

ひぇー、負けた!

今、過激なジンジャラーが増殖しつつあるようだ。


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