3/9のねこさん 文は田島薫
ねこさんに国境はない
先週、うまちゃんがわが家の奥の家へ行くアプローチを歩いてるのを目で追ってたら、
門をくぐって、いつもならすぐ左に折れへいに沿ってまたそのとなりの家の敷地へ入
って行くんだけど、その日はそのまま真直ぐ奥の家の庭に面した軒下を自分ちのよう
にどんどん歩いて行った。
昔はわが家のまわりにもノラ犬なんかがいっぱい歩き回ってたもんなんだけど、この
ごろでは、ほとんど見かけることがなくなった。そういった中、ノラでも飼われてる
んでも相変わらず自由にひとりでそこらを歩き回ってる動物はねこさんたちだけだ。
自分ちの敷地に知らない犬や人間が用事もないのに、ちょっとおもしろそうな気がし
たもんで、って感じで入って来たら、オイオイ、ってちょっと心配になるとこだけど、
ねこさんの場合は、ねこさんだねこさんだ、どこから来たかね〜、かーいーね〜、な
どと、歓迎されることが多そうで、ねこさん自身も安心なんだろう。
とは言っても、うまちゃんのように人に警戒心持ったねこさんの方が多いのも事実な
んだけど、間もなく慣れたり、最初から気安いねこさんがいたりするのも事実で、事
務所が都内にあった時は、開いたドアやベランダから、すいすい歩いて入って来ちゃ
ったねこさんもわりにいたし、エサもらったり昼寝したり仕事机に飛び乗ったり、半
日近く遊んで帰ったりしてたねこさんが、別の家の戸口で鳴いて中入れてもらってた
り、軒先きに居心地のいい寝床つくってもらって寝てたり、してたと思ったら、いつ
のまにかどっかへ姿消しちゃって、何ヶ月かしたらまた別の場所で見かけたり、って
ふうに、ねこさんはやっぱり自由人(人だっけ?)なのだ。