●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
新聞記事から表情を追加のシリーズ、お坊さん悩んでます。
新聞ネタ独白シリーズ
裁判員制度
まったく!国民の及び腰を無視していよいよ裁判員制度がスタートしてしまった。
こんな中途半端な気持ちで、もし裁判員に呼び出されたらどうしよう。
まず私は僧侶、いわゆる仏教徒だ。
仏教には人を殺してはならないという教えがある。だから死刑を選択することはできない。
しかも私はどんな悪い人でも良い心を持っているという「性善説」の立場をとる。
人に立ち直る機会を与えるのが私の役目なのだ。
同じ宗教人だが私の友人はキリスト信者で、人は生まれながらにして罪びとであるという
「性悪説」の立場をとる。
立場は違ってもやはり人を裁くことはできないと信じ、死刑制度に反対している。
いずれにしても僧侶や宗教者に限らず皆法廷では己の信念に基づいて発言をするしかない。
もし裁判員6人、裁判官3人が多数決で死刑判決を下すことになったら、私は死刑に加担し
たことになる。
更生するために宗教があるのにこのような事態になったら、私は一体どうしたらいいのだろ
う。
情に流される人間が、或いは極端に犯罪のみをにくむ人間がたまたま裁判員として集まって
ムードメーカーになってしまった場合、不当な判決がでるんじゃないだろうか。
最近、足利事件で冤罪になった菅家さんの例をみても人を裁くことは重く難しい。片手間で
できる仕事ではない。
私は裁判員制度に反対である。